DESTINATION RESTAURANTS
Destination Restaurants
2025
The Japan Timesが選ぶ「Destination Restaurants(デスティネーション・レストラン)」は、日本各地の食文化を世界に発信することを目的としたレストランガイド。2021年に創設され、国内の食の専門家が国際的な読者を念頭にセレクトしている。2025年の授賞式は5月28日、麻布台ヒルズ森JPタワー内の「Hills House Skyroom」にて開催された。
今年の「Destination Restaurant of the Year(年間最優秀デスティネーション・レストラン)」には、富山県富山市の「レストラン ひまわり食堂 2」が選出された。オーナーシェフの田中穂積氏が2024年に開業した同店は、シェフの創造性に基づいたおまかせコースを提供するイタリアンのファインダイニング。店内はカウンター2席、テーブル6席というプライベート感のある空間で、地元食材を生かした料理が高く評価された。
来賓の内閣府知的財産戦略推進事務局の那須野太事務局長は、現在日本を訪れる外国人旅行者の大きな動機は「食体験」だと語りました。また、「デスティネーション・レストランズ」はクールジャパン戦略と連携し、地域活性化にも貢献していると述べました。日本政府観光局の若松努理事も、食を含む文化との出会いが訪日客の消費を後押ししていると指摘しました。続いて、在日ブラジル大使館のパトリシア・バルボーザ・リマ・コルテス公使による乾杯の後、受賞シェフ6名による6品のコース料理が提供され、参加者は一皿一皿を堪能しました。
受賞シェフによるトークセッションでは、日本の食文化や都市と地方における料理表現の違いについて議論が交わされた。登壇者らは、同賞が地域コミュニティにポジティブな影響を与えることを期待すると語り、職人として来店者に求める姿勢についても言及した。
選考は、辻調理師専門学校校長の辻芳樹氏、プロデューサーの本多直之氏、食文化研究家の濱田岳史氏の3名が担当。選定基準には、地元食材の活用や持続可能な調理技術、独自のガストロノミーの創出、地域生産者との連携、地域社会への貢献度などが含まれる。
「Destination Restaurants」は、単なるレストランガイドではなく、日本各地の食の多様性と、その背後にある文化・人々・風土を世界へ伝えるメッセージでもある。食を通じた地方創生の可能性に注目が集まる中、今後の展開にも期待が高まる。