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April 13, 2021

The Destination Restaurant of the year 2021

Cuisine régionale L’évo

地方の食を再定義、富山県山間部にオープンした美食のオーベルジュ

  • Destination Restaurants 2021
  • 富山県
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「期待するのも楽しみのうち」。日ごろそう信じている人は、レヴォまでの道のりにもきっと魅力を感じることだろう。オーナーシェフの谷口英司氏が開いた新しいレストランは、富山市の中心市街地から車で2時間強、いくつも森を抜け、湖を通り過ぎ、細い曲がりくねった山道を上った山の中にある。

ゲストにとって、そこはガストロノミーを静かに味わうための理想的な環境だ。しかし、谷口氏にとっては長年の夢の集大成にほかならない。山のふもとに立ち上げた最初のレストランは高い評価を得て数々の賞やミシュラン一つ星も獲得したが、谷口氏は当時からすでに次のステップを計画していたという。それは、ゲストが自然と一体となり心からくつろげるような場所、オーベルジュをつくることだった。

2020年12月に移転オープンした新生レヴォは、敷地内にレストラン棟、大きさや内装などタイプが異なる3棟の“コテージ”、サウナ棟などが点在し、どの建物も外観がシンプルなデザインで統一されている。宿泊は1日3組限定(1組最大4人まで)だが、レストランには26人まで入れる席を用意した。レストランは、峡谷とその先に飛騨山脈の巨大な岩壁を望む敷地内の一等地に建つ。

谷口氏の料理は、地元産のありとあらゆる旬の食材を使って作られる。山林で収穫する山菜やキノコはもとよりジビエも地元産。富山湾は日本有数の好漁場として知られ、河川は淡水魚が群れをなす。平野部で収穫される農作物は麺類、酒類、調味料にも形を変える。フィンガーフードとスナックの“プロローグ”から最後を飾るデザートまで、富山の食材は谷口氏の手にかかって唯一無二のひと皿へと昇華され、13品のコース料理として供される。

特筆すべき春のメニューを挙げてみよう。自家製キャビアを贅沢に盛ったガンド(若いブリ)の刺身。冬眠明けで脂肪が落ちたツキノワグマの赤身肉を熊肉のコンソメの煮こごりで包んで。熾火でさっと炙ったホタルイカはそのジュとともに。地元産のヤギのチーズを使った濃厚なブロスはフキノトウのオイルで風味をつけて生素麺と合わせる。

中でも記憶に残る料理のひとつが「レヴォ鶏」だ。丘陵地の奥深くの農場で、生産者が谷口氏の意向に従って育てる鶏で、「満寿泉」で知られる蔵元の酒粕を混ぜた米の飼料を与えている。胸肉と腿肉をもち米と混ぜ合わせて蒸し、腿肉の皮の中に詰めて、薪火で焼く。スモーキーなアロマに負けない深い味わいが特徴の、感動続きのコースの中でも最高のひと皿だ。

谷口氏は自身のレヴォでのアプローチを「前衛的地方料理」と呼ぶ。日本のこの地方で同じような深いスキルと想像力を持った料理人を私はほかに知らないし、手つかずの大自然の中となればなおさらだ。その影響力や刺激は料理の世界を超えている。

谷口氏は地元の職人を支援し、農業に高い基準を設け、芸術家や建築家に制作を依頼しながら、ゲストを山の中へと導く。ここ何十年の間に方向性を失い人口流出も進む地域に、新たな息吹を吹き込む。それがレヴォであり谷口氏なのだ。

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Cuisine régionale L’évo

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ADDRRESS

富山県南砺市利賀村大勘場田島100番地

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