April 14, 2021
Restaurant Uozen
料理人・井上和洋氏と妻の真理子氏は、東京で経営してきた人気レストランをたたんで新潟県に移住した。向かったのは三条市の郊外。高級料理よりも職人の金属加工技術で知られる土地だ。
コンクリートジャングルから水田や雪山へ、地方に来て変わったのは日常の風景だけではない。井上氏は自分の料理を一から見直し、地元で調達する食材を主役に据えた。日本海沿岸で獲れる海産物をメインにすることもあれば、豊かな土地が育む農産物、山で仕留める獣や野禽を使う場合もある。塩やバター、香辛料も県産品を調達する。
釣り好きだった井上氏は、狩猟免許を持つハンターになった。仕留めた獲物を処理して出すジビエ料理はUOZENの名物だ。とはいえ、その料理は素朴とは対極にある。ランチとディナーで2種類ずつ、価格帯を変えて提供するコース料理は、どれも繊細で洗練されたものばかり。ダイニングルームのセラーには、食事を引き立てるワインが種類も豊富に用意されている。
メニューは仕入れ状況や季節に応じて随時変更する。すりおろした自然薯といっしょにいただくツキノワグマの肉のしゃぶしゃぶは、目玉料理の1つだろう。ほかにも佐渡産ボタンエビは、ブイヤベースのジュレでコーティングして上品に。真鴨の胸肉の薪焼きは、自家製の鉄火味噌を隠し味にした。料理はすべて予約が必要だ。
オープンから7年が経ち、UOZENの評判は地元を超えて広がり日本全国から客が訪れる。東京駅から燕三条駅まで上越新幹線で2時間弱、そこからはタクシーで店まで約15分で到着する。