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June 20, 2022

AKAI

広島で挑戦する、素材が引き立つ引き算の料理。

ライター:寺尾妙子
撮影:鷲崎浩太郎

  • Destination Restaurants 2022
  • 広島県
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世界遺産として知られる広島県の厳島神社。その聖なる島へと向かうフェリーが発着する宮島口。周辺には観光地らしく土産物やこの土地の名物、穴子めしの店が並ぶ。一方、山手側は住宅地。駅から徒歩10分弱。坂を登った丘の上に、築80年の古民家を再利用したレストラン〈Akai〉は佇む。

8席のカウンターキッチンで腕を振うのは広島で生まれ育ったオーナーシェフ、赤井顕治。フランスの名店で修業し、2017年に35歳以下の料理人コンペティション「RED U-35」でグランプリを獲得した。そう聞けば、自ずと期待に胸が膨らむ。昼夜ともに、おまかせコースのみ。最初のひと皿は漆塗りのお椀で供される。中身はお粥だ。赤井が毎週、車で片道40分かけて汲みに行っている湯来町の名水で広島産の米を炊き上げた一品は器も中身も、日本的。具は春には豆、玉ねぎ、冬なら大根と、季節によって変化する。なかでも赤井にとって、特別な一品が秋に登場する生落花生のお粥である。

「2019年5月に店をオープンして4,5ヶ月後に作った、この料理が自分にとってターニングポイントになりました。それまではもうちょっと具の多い料理をつくっていたのですが、これはほぼ水と塩と素材だけで成立する一品。であれば、それ以上はいらない。この一品で店の方向性が決まったんです」(赤井)

10〜11月にかけて、近隣の廿日市で採れる生落花生、秋に収穫された新米の香り。シンプルゆえに誤魔化しが効かず、だからこそ、素材のよさ、ひいては広島という土地の豊かさがダイレクトに伝わる。赤井曰く「うますぎないからいい」テイスト。塩と広島・江田島のオリーブオイルを効かせたことで、ワインとも相性よく仕上がっている。

そんな、まさに素材を主役にした料理が続く。白身の魚、ウマヅラハギは造りにして、和の一番出汁をベースにしたジュレ添え。すっぽんの出汁でつくる香茸の茶碗蒸しは、フランス料理のフランではなく、あくまで日本料理の茶碗蒸し。石川県の郷土料理、治部煮に着想を得た地鶏の一品も出る。魚と肉のメインは炭火焼き。これからの季節は網で獲った尾長鴨などのジビエも登場する。取材時は愛媛・八幡浜産の石鯛と北海道産の蝦夷鹿が出た。

「なるべく広島の素材を使ってはいますが、広島産だからというわけではなく、クオリティに納得したから使っています」

メインの肉料理でようやくフレンチの赤ワインソースが添えられる。

「よく聞かれますが、“うますぎない”味を目指しているので、うまみを濃縮させるフレンチの技法はほぼ使いません。料理のジャンルはノージャンル。あえて言えば、僕の料理です」

それは赤井が真摯に素材と向き合った結果だろう。今後は宿泊棟を建てる計画もあるという。この地は有名な観光地とはいえ、これまでガストロノミーなレストランがなかった。そんな土地で赤井がチャレンジする意味は大きい。

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AKAI

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ADDRESS

広島県廿日市市宮島口4-3-41

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